吃音症(どもり)と脳障害に関係についての情報です。
関係がありそうなイメージがありますが、本当のところはどうなのでしょうか。
1990年4月、東京大学医学部や複数の大学・病院などが協力して、脳梗塞を原因とした「吃音症」についての症例研究を発表しました。
吃音症は通常、幼い頃に発症します(発達性吃音)が、成人後に脳の病気などによって吃音症状が現れた場合は「症候性吃音」とも呼ばれます。
研究チームが報告した症例では、56歳(脳梗塞発症当時)の会社員男性に、脳梗塞によって左半身のマヒと吃音症が発症しました。
吃音症が具体的にどういうメカニズムで発症するのか、まだ確定的なことは解明されていません。
しかし、この極めて珍しい症例は、脳梁と言語障害との間に、何らかの関連性があるかも知れないという証拠の一つとして、貴重な報告と考えられています。
吃音者は会話と、会話に使う筋肉の脳内信号が上手く噛み合っていない。これは、海外におけるいくつものニューロイメージング研究で立証されています。
吃音者は脳の右側における活動が活発化し、逆に左における脳の活動が減少している傾向にあります。
吃音者は右脳の活性化が強くなり、そのバランスを取るために左脳のブローカ野の活性化が抑えれていると推測されています。
吃音症の人は言語処理が開始される前に、身体を動かすプログラムが活動してしまう。神経画像から多くの吃音者からそのような傾向が発見されています。
吃音症の人の脳は、前頭葉に存在し発話を担当する領域(ブローカ野)が健常者と異なっていました。 今回の調査で対象となった30の領域のうち、健常者との間で違いが見られたのはこの領域だけでした。
健常者では、発話を担当するこの領域の灰白質の厚みが年を取るにつれて着実に薄くなっていました。 灰白質の厚みが薄くなるというのは悪いことではなく、成長につれて脳の機能が効率化していることを示す正常な変化です。 一方、吃音症の人では灰白質の厚みが変化していませんでした。
ただし、吃音症の人に見られる脳の異常が吃音症の原因になっているのではなく、吃音症(あるいはその他の要因)が原因で脳の異常が生じている可能性もあります。
出典
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◆まとめ
いくつか吃音と脳に関する事例がありました。
ただ、吃音症の発症の確定的なメカニズムが解明されているわけではありません。
全ての吃音で脳が関係しているわけではないですが、脳梗塞など脳が関係している症例もあるようです。